松本です。
ニホニウムの記事が多くの方々に見て頂けたようで
ニホニウムの記事が多くの方々に見て頂けたようで、ありがたいことです。
こちらの記事です。
正直、なんでこんなにアクセスが伸びたのかよくわかりませんが、元素の話をしていいのか!という気になったので、また元素の話をしたいと思います。
また、最初に断っておきますが、僕はそれなりの適当なそこそこの初級元素マニアですので、あまり専門的なことを聞かれても元素について以外は多分あんまり答えられません。
それではゆるーくいってみましょう。
国名といえば「ポロニウム」
以前の記事にもあったように、ニホニウムと同じく、国名がついた元素は多くあります。
その中でも特に有名なエピソードがあるのは「ポロニウム」ですね。
ポロニウムはキュリー夫妻が発見した元素です。
ウラン鉱石から検出される放射線量が、ウランの放射線量よりも著しく高いことに気づいたキュリー夫妻は、数トンのウラン鉱石を素手で調査していき、ついに新元素を発見しました。それがポロニウムです(後にラジウムも同様に発見)。
ポロニウムという名前はポーランドからとっていますが、ポーランドはキュリー夫人の祖国です。
当時ポーランドはロシア帝国に編入されており、国名としては存在していませんでした。そんな中、キュリー夫人は祖国の名前をどうにか残したいと想い、周期表に「ポロニウム」として残したのでした。
ロマンティックな「テルル」と「セレン」
あまり有名でない元素ですが「テルル」という元素があります。
この、テルルが発見される数年前には「ウラン」が発見されています。ウランという名称は、同時期に発見された天王星(ウラノス)からとられています。そこで、テルルの名称は同じく天体の名前からとろう、だったら地球でいいだろう、と地球(テラ)からとられました。
そして、それから20年程経ち、テルルに似た元素が発見されました。周期表で同族(同じ縦のライン)の元素は性質が非常に似ており、テルルの上段の元素であることがわかりました。
そして、命名の際、テルルは地球からとっているし、地球の上にあるものと言えば、月だなと、月(セレネ)にちなみ「セレン」と名付けられました。
実は元素の名前には、このような遊び心というか、科学者のユーモア、ロマンティストな一面が見られるものも存在するのです。
後輩に名前を奪われた「マンガン」
皆さん、マンガンという元素をご存知でしょうか。最近はあまり聞かなくなりましたが、昔は「マンガン乾電池」という名称で乾電池が売られていましたね。
今となっては、もう大体が「アルカリ乾電池」という名称ですので、あまりマンガンという名前は聞かないかもしれません。
しかし、ここで一つだけ言っておきますが、アルカリ乾電池もマンガン使ってるので厳密にはマンガン乾電池ですけどね!!
で、そのマンガンについてです。マンガンの英語名は「マンガネーゼ」と言います。しかし、実は昔は「マンガネシウム」だったのです。
しかし、その後、新元素として「マグネシウム」が発見されました。どちらも発見された鉱石から名付けられたものですが、さすがに名前が似すぎていて、ちょっと紛らわしいなとなりました。
そこで、なぜか「マンガネシウム」の方が変更させられたのです。言ってみれば、後輩に追いやられた形になります。
元素の世界ではなぜか先に決まっていた名前を変更させる例があるのですが、マンガンからすればなんでやねん!と言いたくなる話ですね。
立場が逆転した「タンタル」と「ニオブ」
1800年頃、新しい元素が発見され、その名前を発見された鉱石から「コロンビウム」と名付けられました。
そして、その翌年、同鉱石から新しい元素が発見されました。その元素は酸に溶けず、抽出が難しかったことから、ギリシャ神話に登場する不死身の王様タンタロスから「タンタル」と名付けられました。
しかし、その後の研究で、コロンビウムとタンタルは同一元素であるということがわかり、なぜか「タンタル」に統一されることになりました。
しかししかし、その後の研究でやっぱり違う元素だわ、ということがわかり、なぜかなぜかコロンビウムではなく「ニオブ」と名付けられました。
ニオブはギリシャ神話のタンタロスの娘に由来していますが、先に見つけられて、しかも間違いで違う元素と同じという扱いを受けて名前を奪われ、さらにそのあと、違う名前がついて、それが間違えられた元素の娘に由来するって、もう、なんだよ!!!
僕の中ではニオブは最も理不尽に命名された元素となっています。またこのこともあり、ニオブは1950年頃まで、一部でコロンビウムとも呼ばれていました。
最も多くの元素の由来となった名称は
では、最後に最も多くの元素の由来となった名称を紹介します。
それは、スウェーデンにある「イッテルビー」という村です。このイッテルビーはなんと、4つの元素の由来となりました。
その元となったのは、この村で発見された鉱石です。その鉱石は発見したガドリンからガドリン石と名付けられました。
そしてまず、その石からガドリンは新元素を分離し、名前を「イットリウム」と名付けました。その後、別の人間により新たな元素が分離され、それぞれ「テルビウム」「エルビウム」と名付けられました。
さらに新元素が分離され、今度は「イッテルビウム」と名付けられました。
確かに、名前の雰囲気がどれも似ていますね。イットリウムとイッテルビウムなんて同じじゃねーかという気もしますが、これ以外にもルテニウムとルテチウム等、紛らわしい元素名は結構あります。
これは一時期問題になった「レアアース」という元素です。よく「レア」というので少ないのかと思われがちですが、上でも「分離」という言葉が使われたように、単体で抽出するのが難しいため、レアと呼ばれているのです。
どうでしょうか
この時点で2500文字ぐらいになっているので、今回はここらへんで終わりますが、周期表には夢と歴史とロマンが詰まっているということ、少しはわかっていただけたでしょうか。
はっきり言って、こんな話ならまだまだいくらでも出来ますので、暇な方はまた付き合ってください。
それでは、いつものを貼って終わります。
これは僕が愛用している元素図鑑です。この中にも色々な元素のロマンが詰まっているので、興味がある方はぜひどうぞ!
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