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きっと観たくなる「エヴェレスト〜神々の山嶺〜」感想

松本です。

 

観てきました。エヴェレスト〜神々の山嶺〜です。とりあえず、ネタバレはないので安心してください。

今回、この映画を観るにあたって、久しぶりに映画館で一人で観るな〜と思って行ったんですが、久しぶりどころか初めてだということにふと気づきました。

 

多分あれなんですよね、僕は映画を観たらすぐ誰かと「あーだこーだ!」って言いたくなるタイプなんですよ。だから誰かと行きたいんですよ。でも今回はブログのネタにする予定だったので、ここで吐き出します。

今日の一曲
 
清志郎の曲って、俺は好きだけど〜ってのが多いんですよね。好きな人は好きだけど、万人受けするかと言われると、みたいなのが。でも、これは名曲!と言っていいと思います。歌詞も清志郎らしく風刺がきいてるし、何かしなくちゃ!と思いますよね。旅に出なきゃ!って。でもそんな簡単に旅に出れないので、ブログ書きます。ダメじゃん。

エヴェレスト〜神々の山嶺〜とは

と言うことで、観てきました。実は僕、神々の山嶺が元々大好きで、原作も全て揃えております。

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左が漫画、右が小説、右下が参考資料?です。

 

そしてもう一つ言いたいことは、僕は山に登る人は馬鹿だと思っています。良くも悪くもですけどね。だってめっちゃ危険じゃないですか。そんなところにわざわざ登るなんて、なんなんだと。

 

しかし、そんな僕がこんなにも大好きってことは、登山に対して理解があるとかないとか、そんなものを超越した面白さがあるということなんですよ。

 

この作品の描写は、とにかく生々しいし、恐ろしいし、だからこそ感動するわけです。僕は本当に大好きです。誰にでも、どんな人にでも薦められる、数少ない漫画・小説だと思っています。

エヴェレスト〜神々の山嶺〜を観る前に知っておいた方がいい背景

全く知らない方にどんな話なのか?と少し説明します。

 

まず、この話はフィクションです。しかし、実話を大きく含んだフィクションです。2つの大きな謎と伝説をうまく混ぜ合わせ、そこに人生観というか、死生観のようなテーマを含ませたものです。

 

まず一つ目の「大きな謎」ですが、これは山の世界では常識というか、よく語られている物で、誰が一番最初にエヴェレストに登頂したのか、というものです。これは現在も解決されていない謎で、まずこれが物語に大きな流れを作っています。これは実際に世界で議論されている謎だ、とわかってた方が面白いと思います。

 

そして、もう一つの「伝説」というのが、主要登場人物の一人「羽生丈二」についてです。彼は実在の登山家「森田勝」という人物をモデルにしてるんですが、作中のエピソードはほぼそのまま使っていて、驚くようなエピソードも全部実話です。事件や事故、登場するライバルに関してもほぼ実話です。

 

だからこそ、驚愕すると思います。え、これ実話なの?って思うと思います。一枚目の写真の右下にある参考資料は、森田勝の半生を描いたノンフィクションですが、全てを見終わった後にぜひ読んでください。エヴェレストの世界を二度楽しめます。

知っておいたら楽しめるちょっとした知識

次に、映画では省略されていた「ちょっとした知識」を紹介します。

 

・山にはルート、登り方があり、まだ未達成のものが多い

これ、意外と知られてないと思いますが、山に登った!という話だけでなく、どのルートから登ったか、いつ(夏・冬)、人数(複数・単独)、酸素(酸素ボンベ有・無)等が重要なんです。

 

・8000メートルを超えれば人間の体力は回復しない

これは作中で語られていました(映画では省略)。もっとゆっくり登ればいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、人間は8000メートルを超えた状態では、酸素が薄すぎて体力が回復しないそうなんです。だから出来るだけ8000メートル上で時間を過ごさないようにするんです。

 

元々がこんな過酷な世界なのに、未だに未達成の条件での登頂を求め、より過酷な条件で登ろうとするわけです。

ネタバレなしの感想

とにかく映像化したか!という感想が第一です。すごい迫力でした。なんでもそうですが、やはり映画館で観るとすごい迫力ですね!こういう、映像そのものが売りな映画は、映画館で観ると感想が全然違います。

 

あと、主演の二人が素晴らしかった。阿部寛は演技がすごいのはもちろん、体格までぴったりでした。岡田准一の演技も素晴らしかったです。基本的には黒田官兵衛路線ですが、役作りがすごいというか、きったない顔してかっこいいな!という感じでした。

 

それに、脇役も良かったです。尾野真千子は原作のキャラと合ってるか?と言われると微妙ですが、演技は良かったです。原作知らないと気にならないでしょう。ピエール瀧も違和感はなかったです。また、名もなきネパール人?も、ネパールという国の雰囲気がすごく伝わってきて、映画ならではの面白さがありました。

 

ストーリーは原作とほぼ同じ。少し時間的なものから削ってわかりやすくしてる部分はありましたが、基本的な流れは同じ。ただ、後半はスピーディになって、詳細な描写はカットされてました。ラストも原作のどちらよりも省略しましたね。ここは、うーんとなるかもしれません。そうなったら原作読んでください。映画では時間の関係でこうなったんだなというのがわかると思います。

 

僕が全部読んで観た感想としては、映画、漫画、小説の順番が一番楽しめるんじゃないかなと思います。小説と漫画は逆でもいいかもしれませんが、何も知らない状態で映画を観るのが一番かな。

個人的な想い

最後に少し個人的な想いを。実は、僕にはエヴェレストに登った叔父さんがいました。登ったと言ってもベースキャンプ(5300m)までですが、いたんです。去年、肺がんで亡くなりました。

 

実は記事冒頭の写真は、全て叔父さんにもらったものです。僕が面白い漫画があるよと紹介したら、小説は持ってたけど漫画は知らなかったと言って、読んでくれました。逆に僕は小説を読んでなかったので、借りて読んで、森田勝の本も借りました。亡くなったあと、全部僕がもらいました。二人で、面白いなぁという話をしたのを覚えています。

 

映画も大好きな叔父さんだったので、叔父さんが生きてたら、多分この映画もすごく楽しみにしてただろうなぁと思いまして、一人でもいいから見に行こうと思ったのです。この世界を叔父さんも見たんだろうなぁと思って、ただのエヴェレストの風景シーンを見ながら泣いていましたw

 

映画は、風景の一枚一枚がすごく綺麗で、それだけで作品のようでした。冬の山って、本当に綺麗ですよね。でも近づいた映像ではゴツゴツした岩だらけなんですよね。僕もいつか叔父さんのように、とは思うものの、僕には到底たどり着けないところなので、この映画を観てそんな気持ちが少しでも満たされた気がして、個人的にすごく感謝しています。

まとめると

映画館で観てください!全然人が入ってなくて、びっくりしましたけど、映像はすごく綺麗だし、映画を観た後に本を読めば二度楽しめますよ!小説が苦手な人は、漫画だけでもいいと思います。ほぼ忠実です(ラスト以外)。漫画では過酷な登山の状況が、もっと生々しく描かれています。

 

映画を観てから本を読む方がきっと楽しめますので、やはり、まずは何も考えず映画を観るのがオススメです。もし映画はあんまりなーと思う方は、もう小説だけでも、漫画だけでも読んでください。本当に、素晴らしい作品ですよ。非日常の興奮と、日常の有り難みがわかります。

 原作小説。上下巻ですが、一気に読んでしまうと思います。

 原作漫画。全5巻です。Kindle版は現在1巻無料らしいです。

まだ読みたい!という方はこちらもどうぞ。