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四条通り週末.com

京都から万物の面白さを伝えます

物理化学の話:原爆と水爆の違い

物理化学

松本です。

 

最近、北朝鮮がどうとかって話で、水爆が話題になっていましたが、皆さん、原爆と水爆の違いについてご存知でしょうか?

 

ちなみにどちらも名前に「爆弾」とありますが、一般的な爆弾とは全くことなり、火薬は一切使っていません。そう言った意味ではどちらも特殊な爆弾という共通点を持ちますが、この2つには明確な違いがあります。どちらも(比較的)身近な現象を通じて説明します。

原子爆弾とは

簡単に原理を説明します。本当に簡単に説明します。間違ってるとか言い換え過ぎとか言わないで。簡単に説明しないと説明できないからマジで。

 

不安定な状態にある特定の元素は、刺激を与えることで、違う元素に変身することがあります。まぁいくつかそういう現象はあるんですが、その一つに「核分裂反応」と呼ばれるものがあります。これが原子爆弾の基本となる現象です。簡単に言うと、核が分裂するんですが、分裂するだけでなく、その際にエネルギーを放出するんですね。

 

で、核分裂反応という反応を繰り返し、その反応で余ったエネルギーが外に放出され、それがまた新しい反応を生み、どんどん膨らんでいき、ある点を超えると爆発します。この点を「臨界」と呼びます。聞いたことがないでしょうか。そう、簡単に言うと原子炉です。原子炉は原理的には原子爆弾とほぼ同じと考えてもいいと思います。

 

何が違うのか。上でも説明しましたが、ある点を超えることで爆発する原子爆弾の、ある点を超えないように制御したもの、それが原子炉と言えます。制御棒とか聞いたことないですか?あれはそれを制御するための棒です。どう制御するかって話になると、若干専門的な話になりますが、棒を抜き差しして臨界に達するかどうかを調節しています。

 

あ、元素マニアとしてちょっと補足しておきますと、制御棒に使われる材料として有名なのがハフニウム(72:Hf)という元素です。これは制御に必要な「中性子をよく吸収する」という性質を持つことで有名ですが、周期表のその上にあるジルコニウム(40:Zr)という元素は真逆の性質を持ちます。周期表の上下で真逆の性質を持つのはかなり珍しい例です。逆に言うと、元素の構造が似ていても中性子の吸収には影響がないという根拠の一つでもあります。

 

話がかなり脱線しましたが、つまりは核分裂反応によって生み出された中性子線が更に核分裂反応を促進させていくことでとてつもない威力になっているわけです。では原子炉は原子爆弾のように爆発するのか?福島の件がありましたが、原子爆弾のようには爆発しませんでした。それは、そもそも使用している燃料が違うからです。よく濃度とか言ったりしますが、核分裂反応を起こしやすいウランと起こしにくいウランの割合によって程度が変わってくるのです。

水素爆弾とは

では、水素爆弾とはなんでしょうか?全く違うものなのでしょうか?実は、水素爆弾の起爆剤には原子爆弾が使われています(使用しないものも構想上は存在しますが)。

 

原子爆弾のエネルギー源となる反応は核分裂反応ですが、水素爆弾のエネルギー源となる反応は「核融合反応」です。核融合反応は名前の通り、融合します。核分裂の反対です。で、同じく融合するときにエネルギーを放出してうんちゃらかんちゃらです。これが水素爆弾の基本的な反応と言われています。

 

材料は、水素爆弾というからには水素を使用していますが、普通の水素ではなく、重水素という普通の水素よりも陽子が1つ多いものと、三重水素という陽子が2つ多いものを使用しています。これらは通常の水素よりも非常に不安定です。これらにまたなんちゃらかんちゃらの刺激を与えることで、核融合反応を引き起こし、膨大なエネルギーを得ていると言われています。

 

「なんちゃらかんちゃら」「〜と言われています」が多いという声もありそうですが、水素爆弾は実は正確にはわかっていません。公開されていないのです。なので、北朝鮮がほんとに作ったのかよという話になってるんですね。原子爆弾と比較してもかなり高度な技術が必要なのです。

 

で、約束通り、核融合反応の最も身近な例を挙げましょう。空を見上げてください!太陽です。太陽が燃えているのは核融合反応です。太陽の中心部では水素が融合し合ってヘリウムになるという反応を繰り返し、エネルギーを供給し続けています。太陽がいずれ燃え尽きるというのは、爆弾がいずれ燃え尽きるのと同じです。いずれは燃え尽きます。

日本が作ろうとした原子爆弾

最後に少し歴史の話を。日本は唯一原子爆弾の被害にあった国ですが、日本でも原子爆弾は研究されていました。話題の理化学研究所です。戦時中に理化学研究所で研究されていたのですが、当時の技術では不可能と結論されました。原子爆弾を作るに足りるほどの高濃度ウランを得ることができなかったのです。

 

しかし、アメリカは日本の数百倍の研究費用をつぎ込んで完成させました。しかも、日本では、いくつかの研究室のみによる研究でしたが、アメリカでは著名な研究者達が12万人も携わっていました。

 

僕が昔読んだ本に書いてあった話では、当時理化学研究所で原子爆弾を研究していた仁科博士は日本に原子爆弾が落とされたと聞いたとき、そんな馬鹿なと言ったそうです。まさか完成させるとは思ってもいなかったという表記がありました。それほど当時の科学力には差があったのです。

 

また、アメリカの原子爆弾開発の要因になったのは「ドイツの原子爆弾開発」と言われています。先に作られてはまずいと科学者達が進言し、原子爆弾の製造計画が始まったとされています。しかし、ドイツでは研究に必要になる莫大な金額の捻出は不可能と判断され、早々に放棄され、全く研究はされていませんでした。つまり、ドイツでもまさか完成するとは思ってもいなかったのです。

 

原子爆弾の開発に携わった研究者はそのあまりの威力に驚き、後悔したと言われています。それ以降、反核に回った研究者は多く、アインシュタインもその一人なのですが、アインシュタインに関してはまた別の機会に話すことにします。寝ます(現在AM1:10)。